端から見たら普通の片側2車線の橋。よく見ると微妙に美しくかすかに漂う風格。そんな萬代橋が出来たのはいくつかの運命の巡り合わせによってでした。
住所 | 新潟県新潟市中央区万代2-4萬代橋 |
アクセス | 新潟駅より徒歩15分。路線バス7分 |
ぶら旅メモ | 東(新潟駅)側には万代シティ、メディアシップ、朱鷺メッセ 西(古町)側には本町、古町、白山神社、新潟市陸上競技場 |
3代目萬代橋は国の重要文化財
ただの鉄筋コンクリート橋のようでいてそうでもない
現行の萬代橋(3代目)は鉄筋コンクリート製ですがその開通は1929年に遡ります。
その建設は2代目萬代橋の老朽化により計画され、計画中に起きた関東大震災でアーチ橋の堅牢性が証明され、信濃川河口という海への近さから錆止めの面も考えられて、鉄筋コンクリート製のアーチ橋として建設されました。
当時の選択が1964年の新潟大地震も乗り越えて今日に残るアーチをもたらしました。
そして架橋75周年(何か半端な)の2004年に国の重要文化財に指定されました。
新潟市民はそんなこと気にせず使いまくり
歴史ある橋の多くが古くなると狭さや劣化により代替の橋が建設されて主役の座を譲っています。
そんな中で新潟市の萬代橋は今でも新潟市の道路交通の中心に君臨しています。
新潟駅と新潟市中心部2箇所(万代シティと古町)を直線で結ぶ位置に存在し、片側2車線と広い歩道を有する萬代橋を新潟市民は普通に使い倒しています。
歴史があるから使わずに保護しようとかそんなノリはありません。
文化財と聞けば保護したくなりますが、都市の構造物として捉えれば使えば使うほど味が出るもので萬代橋のあり方は今の姿でいいんじゃないかと思います。
今も通用する萬代橋建設にまつわる巡り合わせ
幅が広いことはいいことだ
鉄筋コンクリート製のアーチ橋が選択された理由は上に書きました。
その橋が90年を過ぎて今も主役として使われるものとして建設されたのは他にも運命の巡り合わせがありました。
今も使われる理由、片側2車線と広い歩道を設けられる幅で建設されたのは当時の鉄道を巡る動きによるものでした。
1900年頃、国内の鉄道は今に続く大幹線が延伸する一方で、徐々に都市交通の手段として東京大阪を皮切りに路面電車という形での建設が進んでいきました。
その波が新潟にも辿り着き、新潟市中心部に向けて架けられる萬代橋は路面電車を通すことを想定して頑丈に幅広に建設されることになりました。
キレイなことはいいことだ
萬代橋を見てキレイとは思わないかもしれません。地味な色合いですし。
でもよく見ると側面一杯に何か模様が付いていて手が込んでいることが分かります。かすかに漂う風格は目立たないけど落ち着いた装飾から感じられるものです。
装飾は御影石でなされています。
なんで装飾したか明確なエビデンスはありません。ちょっとした飾りならどこにでもありますが側面を覆うような装飾をしたのは何故か。
新潟人なら何となく想像できます。見栄ですね。
目立つことはせず耐え忍ぶ新潟人ですが、市の中心部のこの橋だけはよそに誇れる目立つものにしたいと考えたと思います。
見栄によって作られた装飾の御影石は塩害からコンクリートを守りその姿を今に残すことに貢献しています。
お金が沸いてきた
湿地帯の新潟市中心部に架ける橋はお金がかかります。幅広に装飾付きでって余計にお金がかかりますがこれも巡り合わせがありました。
萬代橋の上流50kmのところに大河津分水があります。その稼働は1922年でこれが新潟市にお金をもたらしました。
大河津分水は信濃川の洪水防止のため建設されて信濃川の水流を逃して下流の川幅を狭めました。
その結果、新潟市中心部で河川敷の一部が街作りに使えるようになり、新潟市は河川敷の土地を売却してお金を得ることができました。
橋を作ろう、そう考えた時の様々な周辺の動きが今日まで通用する橋の建設に導きました。時を超えて残る物は何らかの幸運に恵まれているものです。
萬代橋で何を楽しむか
ただの橋ですからねぇ。悩ましいところです。
アーチ橋ってことで側面をみてください。アーチになっていますよ。地味な装飾も見えます。
広い歩道から片側2車線の車道をみて、路面電車を通せることを確認してください。
橋の上から河口側を見ると高いビルや煙を吐く工場が見えます。
それって楽しいかと言われるとちょっと苦しいです。
最後の寄り道情報に書きますが、展望台に登って上から見たり、ちょっと歩いて横から見たりすると周りの建物と合わせて映える風景に出会えるかもしれません。
アクセスは徒歩というか、新潟市中心部へのアクセスに使うのが萬代橋
萬代橋が見たいなら新潟駅から徒歩で
萬代橋は新潟市の都市交通の中心で、新潟駅起点で新潟市の中心部の古町、白山に向かう各種路線バスは橋の上を通過します。
バスで通過すると風格も何も分からないので、萬代橋を見るという点では新潟駅から徒歩で向かうのがおすすめです。新潟駅から徒歩15分で到着します。
新潟BRTを使ってアクセス
新潟BRTが新潟駅から新潟市中心部を経て新潟市西区青山まで走っています。
駅から萬代橋の手前まで新潟BRTを使ってアクセスできます。乗車時間は5分程度。
新潟駅のBRT乗り場は万代口を出て正面ロータリーの左に位置しています。正面ロータリーを見ながら左(東から西)に歩いていると小綺麗なバス乗り場があります。
萬代橋最寄りは「万代シティ」バス停です。
新潟市中心部へ寄り道
メディアシップ そらの広場 展望フロア
萬代橋の東側(新潟駅側)にメディアシップというオフィスビルがあります。20階がそらの広場展望フロアになっていて100mの高さから萬代橋を含む新潟市街を見渡せます。
そらの広場展望フロアは無料で8時から23時まで入場できます。
朱鷺メッセ Bafcoばかうけ展望台
萬代橋の東側から10分程歩くと朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンターです。
朱鷺メッセは万代島ビルとコンベンションセンターから構成されていて、万代島ビル31階がBafcoばかうけ展望台になっています。
こちらは125mの高さから新潟市街の景色を楽しめます。
Bafcoばかうけ展望台は無料で8時から21時半まで入場できます。
信濃川河川敷のやすらぎ堤
萬代橋の両岸の河川敷は芝生や遊歩道(自転車道兼用)があり、くつろげるスペースになっています。トイレも数は少ないながらあります。
くつろいでいると新潟ウォーターシャトルという水上バスが目の前を通りすぎます。
水上バスは天気が良いと気持ちいいのでそんな日は目の前の乗り場から乗船してみてください。なお、行き先を把握してうまく乗らないと離れたところまで連れて行かれてしまいます。
河川敷を30分程歩くと新潟市陸上競技場やりゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)といった公共施設のゾーンに到着します。新潟市陸上競技場ではアルビレックス新潟レディースの試合を観戦できます。
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