渋沢栄一も尽力した保存運動により現在もその姿を残す西ヶ原一里塚。その奥には七柱を祀る七社神社が佇みます。この記事は前半が西ヶ原一里塚で後半が七社神社です。
住所 | 東京都北区西ケ原2丁目4-2 |
アクセス | 西ヶ原駅(東京メトロ南北線)徒歩2分 王子駅(JR京浜東北線、東京メトロ南北線)徒歩11分 |
ぶら旅メモ | すぐ隣の飛鳥山公園に渋沢史料館など3つの博物館 2里目なので江戸日本橋から約8km |
今は飾りの西ヶ原一里塚。昔の旅人にはとても重要でした
今見ると正直微妙
西ヶ原一里塚は2つの土盛り(塚)とそれぞれに立派な榎の木が生えています。
土盛りは片方は本郷通りの東側、もう片方は中央分離帯にあります。
昔は旧日光街道を挟む形でしたが本郷通りの整備で西側の土盛りの向こうに車線が新設されたため、今は西側の土盛りは中央分離帯に位置しています。
鑑賞できるのは土盛りと1本の榎だけなので3分見ればもう飽きたって感じになります。
旅の行き先というよりはご近所にある何か古いものを観るといった風情です。
昔はこれを頼りに旅をしていた
一里塚の役割は一体なんでしょうか?
簡単に言えば歩いた距離を測る目印です。
現在のウォーキングはGPSや歩数計を使って移動距離を把握し休憩を取ります。昔は一里塚を目安に休憩を取ったり宿泊地を決めていました。お大尽の乗るカゴも一里塚が料金計算の区切りでした。
一里塚はかつて旅人にとって非常に重要なものでした。
西ヶ原一里塚は国史跡で実はすごい
旅好きの日本人ですから一里塚は各地にいくらでもありそうで実際に板橋区の志村坂上駅そばにもあって「何だすぐ近くにあるじゃん!」となりそうですが、実は東京でまともな形で残っているのはこの2つだけです。
まともな形というのは昔設置した場所に2つの塚がそのまま対で残っていることを差しています。
実は大正時代にこの一里塚は路面電車敷設に向けた道路工事のため撤去されそうになりました。その際の渋沢栄一や古河財閥の熱心な保存運動の中でまともな形という重要性が注目されて1922年に国史跡として指定され現在に至っています。
江戸時代の旅人に思いをはせる
江戸時代の旅人は1日に8里から10里を歩きました。30km以上です。
西ヶ原は日本橋から2里目ってことで、ここで休憩しながら今日は何里まで歩こうかなんて考えていたと想像すると大事に保存したくなります。
一里塚の横で一休みして昔の旅人の気分に浸ってみてください。ちなみに滝野川警察署の真ん前なのでウロウロ怪しい行動をするとまずいです。
七社神社は文字どおり七柱の神様がいる西ヶ原の鎮守
明治に西ヶ原に移転してきた
西ヶ原一里塚と滝野川警察署の間に鳥居があります。その鳥居が七社神社の参道入口です。
七社という名前から想像できるとおり七柱の御祭神が祀られています。
明治以前は少し離れた古河庭園付近の無量寺に祀られていましたが神仏分離で明治2年(1869年)に現在地に遷座してきました。
現在地に元々あった一本杉神明宮は境内社の一つになっています。
七社神社も渋沢栄一と関係があります。関係というか氏子の一人でした。渋沢さんは北区のあちこちに名前を残しています。
静けさに包まれる境内と桜舞う拝殿
西ヶ原付近の本郷通りは交通量が少なくその奥に位置する七社神社は静けさの中にあります。
西ヶ原村の鎮守という位なので境内は大して広くありませんが舞殿があり春には八重桜も咲きます。6月には茅の輪くぐりが出来ます。(その時期は周辺の神社にも茅の輪が設置されます)
春や6月に参拝にきて七社のパワーを受けると吉です。
華やかな御朱印
御朱印は時々特別仕様になって桜、都電、渋沢さんをかたどった印が押されます。
七社神社公式サイトの御朱印ページをチェックして特別仕様の御朱印がある日に狙うのもありです。初穂料は500円です。
東京メトロ南北線の西ヶ原駅からアクセス
西ヶ原駅から地上に出ると何やら厳重そうな工場が目に入ります。そこは国立印刷局で日本銀行券を印刷しています。ザックザクとお金が刷られています。庶民にはどうでもいい話ですが。
その北側に滝野川警察署があり西ヶ原一里塚と七社神社があります。西ヶ原駅から徒歩2分です。
JR王子駅からも徒歩11分と歩ける距離ですが結構な坂を上ることになります。王子駅前のあすかパークレールに乗れば坂の上までモノレールで移動して楽できます。あすかパークレールは無料です。
七社神社の境内は関係者用の数台の駐車スペースだけで車での参拝はできません。
寄り道情報と買い出し情報
買い出しは王子駅周辺で
長時間佇む場所ではないので事前の買い出しは必要ないと思います。
何か買い物をしたくなったら、帰り道に飛鳥山公園を経由して王子駅前に出ればサンスクエアがありお店が揃っています。
もっと歴史に触れたいなら平塚城へ
飛鳥山公園で桜を観たり博物館へ入ったり
王子駅から七社神社に向かう間、あすかパークレールで丘を登ったところに飛鳥山公園があります。
桜の名所であるとともに、渋沢栄一の業績が分かる渋沢史料館、北区の民俗展示をしている飛鳥山博物館、王子製紙の史料などで紙の歴史が学べる紙の資料館も公園内にあります。
公園にはSL(D51-853)や都電の旧車両が静態保存されています。SLは中に入って触れる形で置かれていてちょっとボロいですよ。
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